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2013年6月12日 (水)

アンチノミー(序)「絵画にみるもの、絵画から見えてくるもの」展に寄せて

「antinomy-preface20130612.rtf」をダウンロード

substance》桃花峡より、N氏へ;「物質」に着目しながら、画布と絵ののありようを模索するこころみも、実のところぎこちない作業になりがちであり、長いトンネルのなかしばし拘泥を余儀なくされていましたが、「速度」におもい至ることができたからでしょうか、幾分先がみえてきました。なるほど、アンチノミーは、ひとつ在所にあるのですね。たとえば、死と生のように。(2008/03/30)

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3年前の春、3月から4月にかけて、山梨県は増穂町にある、酒蔵ギャラリー六斎にて、substance《桃花峡へ》展が開催されました。地元で製作するある宝飾作家との二人展でしたが、この展覧会では、近年の作品にまじえて、新作の油彩画11点を発表するつもりでいました。

substanceというタイトル通り、「もの」にたちかえりながら、あらためてみずからの絵画を探ろうとするこころみを全面に押し出した、作品を展示する予定でした。

しかしながら、それらの絵のどれもがサブスタンスとはとても呼べないしろものにみえてきて、挙句タイトルから《サブ》を外し、11作品すべて「スタンス」と名付けるほかありませんでした。

おもい返せば、「もの」に振り回されて、ますます絵を描く速度がはやまるばかり、そのスピードを緩めることも止めることもできずに、時間切れ。皮肉なもので、速度がはやまればはやまるほど、絵は身体的になり、物質的にみえてくるのです。

そんなこんなで終始するうちに、シークエンス(連続)に考えが及び、スタイルは、結果にあるのではなく、そのプロセスにあることをまさに結果的におもい知ることとなりました。

たぶんそれは、「統合が実際にはその“実践の”形式たるゆえんです。」(「視像のゆくえ」平井亮一)と書かれている今回のテキストのくだりに呼応するものではないかとおもわれます。

さらに、「媒体の恵みであって呪縛でもある。」(同上)べくかかわる物質の媒体化、あるいは媒体をとおした視覚のかかわりは、すなわちアンチノミーに他なりません。

このことは、柄谷行人が説くところの、「強い視差parallax」=アンチノミーとも符合するようにおもいます。(Objective Correlative叢書;ANTINOMIE)     いわく、「カントは他人の視点が正しいといっているのではない。大事なのは、自分の視点と他人の視点に存する強い視差なのであり、そして、そこにおいてのみ、『他者』があらわれるということである。」

柄谷のこのアンチノミーの一文は、つぎのように締め括られています。  

「最後にくりかえすが、芸術論は、つねに、認識と道徳性に対する自己弁護論であった。だから、芸術にとって危機的なのは、芸術が追い詰められることではなく、その逆に、芸術を弁護する必要がなくなることである。それが今の状況である。(20038月)」(2008/07/26きたむら) 

この展覧会は、
2008年7月15日~20日 練馬区立美術館・企画展示室で、
つづいて資料展が、7月28日~8月2日 銀座3丁目ギャラリー檜にて開催された。そのおりのテキストである。

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