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2013年8月

2013年8月29日 (木)

38 おおいなる木々の一部におもわれて斎場わきの雑木林も

短歌第三十八号刊。
斎場をうたう、月並み三首。Pc110005

おおいなる木々の一部におもわれて斎場わきの雑木林も

斎場の裏てをつづく舗装路の途切れしところ川へと下る

斎場と運動場をへだてたる汚水処理場いつしかに消ゆ

2013年8月28日 (水)

37 この墓は厭だと言った義父さんがさいしょのひととなって納まる

短歌第三十七号刊。
葬儀関連その他、三首。

P4110057

この墓は厭だと言った義父さんがさいしょのひととなって納まる

あたまに老人とある病院とホームを行き来しつつ暮れゆく

特養に空きの出でしを聞きながらおもい途切れてあふれだすきみ

2013年8月27日 (火)

36 寒すぎて暖かすぎて早すぎてそれでもたいへんよく咲きました。

短歌第三十六号刊。
つづけてさくら三首詠。

Pc250012

寒すぎて暖かすぎて早すぎてそれでもたいへんよく咲きました。

暗く長い筒のさきっぽ慣れし目に出口まばゆし天城を越ゆる

半島のさきの先までのさくらかなさまざまありて菜の花畑

35 桜見にちょっとそこまで 漕ぎ手なきふらここ揺れる園にそいつつ

短歌第三十五号刊。
桜をうたう、季節はずれはご容赦を、以下三首。

P4110055

桜見にちょっとそこまで 漕ぎ手なきふらここ揺れる園にそいつつ

雨戸繰るたびに見上げることすでに義務のごとありさくら満開

綾取りの母と子のおり、枝垂れ咲くはなのこかげに父を忘れて

 

2013年8月26日 (月)

34 直植えはちがうやっぱり勢いが、トマトいきいき隣家の庭に

短歌、第三十四号刊。
家庭菜園はたのしいぞの巻、三首詠。

直植えはちがうやっぱり勢いが、トマトいきいき隣家の庭に

P9050001

鉢植えの柚子の木その実ここのつを数えながらに番号を呼ぶ

ビール漬けワイン漬けあり。わが手練手管の果てに蛞蝓は果つ

2013年8月24日 (土)

33 窗のない夢を溶け出す数ばかり増しゆくそれは雨滴(泣きたい)

短歌、第三十三号刊。
闘えば闘うほど、怖れは肥大するらしい、とまれ三首。下、滋賀県は近つ淡海のノラ。

P9170025

窗のない夢を溶け出す数ばかり増しゆくそれは雨滴(泣きたい)

パレードの帰り道にもてんつくてんひとりはぐれて叩く小太鼓

ポピュリズムかなしき史を紐解くときあわれ大正さわれ平成

2013年8月23日 (金)

32 少年の腰のベルトに吊るされて揺れるミッキー・マウス ぼくもだ。

短歌、第三十二号刊。
キャラクター・グッズ紹介の巻。以下三首。

P9170010 近江八幡

少年の腰のベルトに吊るされて揺れるミッキー・マウス ぼくもだ。

同郷の「まる子」を囲みてわが夫婦しばし悲しむ、連載終わる

乾電池盗む癖ある少年の夢は自室でアトム飼うこと

2013年8月21日 (水)

31 葉枯れせし遮光カーテンまなび舎の屋根まで伸びてヘチマとなりぬ

短歌、第三十一号刊。
学校をうたう、三首詠。

005

葉枯れせし遮光カーテンまなび舎の屋根まで伸びてヘチマとなりぬ

小さき虫耳のなかより出ださんに 生徒昇降口の明るさ

けたたましき米軍ヘリを貶めるごとく君蹴るシュートの行方

2013年8月18日 (日)

30 小さなる手のつぎつぎにあらわれてうすももいろの夕日を囲む

短歌、第三十号刊。
科学のちからを省みるこのごろ、いろいろの三首。Pa250316pm_2

小さなる手のつぎつぎにあらわれてうすももいろの夕日を囲む

灰色に凭りかかられて空色あり とおい遠い画面の底に原子炉

青は水、熱き湯は赤 捻るたびに蛇口の口をぬるまゆは出づ

29 やさしかりし祖父の名を持つしらす舟熊吉丸は清水のみなと

ひきつづき短歌、第二十九号刊。
清水港をうたう、三首詠。P8020061

やさしかりし祖父の名を持つしらす舟熊吉丸は清水のみなと

海を背に網繕える祖父にしてかえし来す笑みまぶしかりけり

日酒ちびりちびりとやるは老いびとの特権にして漁師の午後は

28 トロフィーが表通りに向けられて海士町山中毅の実家

短歌、第二十八号刊。
オリンピックをうたおうの巻、以下三首。

トロフィーが表通りに向けられて海士町山中毅の実家

P8020048

お笑いに出るを目指してがんばったと五輪選手が目かがやかせいう

至近距離に見ている者の判定があっけなく覆されてTHE END

27 娘はきょうも帰り来ぬらしカボチャばな受粉済ませし雄花は摘むも

短歌、第二十七号刊。
ハブラシのうた、その他三首。

P8020059娘はきょうも帰り来ぬらしカボチャばな受粉済ませし雄花は摘むも

娘とふたりかがみを前にならび立ちくちにハブラシ動かしており

カルチャーを無断欠席したあの日、ハブラシの詠は日の目見ざりき

 

 

2013年8月17日 (土)

26 ホンキャベツムラサキキャベツハナキャベツメキャベツメハナキャベツ同根

短歌、第二十六号刊。
メキャベツのうた、思いつくままに三首。不思議なメキャベツの写真とともに。

ホンキャベツムラサキキャベツハナキャベツメキャベツメハナキャベツ同根

0271x09

青汁を身にみたしめてモンシロの子らは横たう葉うらのうえを

虫虫の供養を兼ねて揃え置くわり箸にほんは花壇のわきに

25 うたた寝の学芸員も蝋の火を描きつづけし画家の名は知る

短歌、第二十五号刊。
かくて絵のような日常をうたう、月並み三首。

P1300008pm

うたた寝の学芸員も蝋の火を描きつづけし画家の名は知る

画材購うために売りゆく絵のひとつ脇に抱えて【ジグザグ】の道

紙と木の家のくらしはままならず夢のなかでもわが子を叱る

24 海賊の舟の丸窓くもり出し波より高き憎悪にしずむ

短歌、第二十四号刊。
時の巡りをうたう、つれづれ三首。

P8020047

海賊の舟の丸窓くもり出し波より高き憎悪にしずむ

エピグラムその切れ味を試さんにしばしラインを越えて漂う

入隊後二、三センチは伸びるらし 朝鮮人民軍兵士の背丈は

2013年8月16日 (金)

23 谷崎は鉄道病と名付けしがパニック障害病む時は病む

短歌、第二十三号刊。
乗り物をうたう、以下三首。車窓風景付き。

谷崎は鉄道病と名付けしがパニック障害病む時は病む016

鶴見線の国道駅か安善駅のガード下なら良い店がある

いつのまにか家の南に新幹線北に東名 五輪の前後

 

 

2013年8月15日 (木)

22 ひと作業のこして息を吐く妻の、「介護から得るもの何もない」

短歌、第二十二号刊。
おなじみ日々の出来事、三首詠。

下の写真は、雪の中央本線、車窓より。

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ひと作業のこして息を吐く妻の、「介護から得るもの何もない」

産廃と老後の施設は隣り合いさねさしさがみ田名がひろがる

あわあわと口の奥より出す声はやすらかならず死の近きひと

2013年8月 6日 (火)

21 銀座シネパトス横目にひたひたと地下道を行く三原橋地下

短歌、第二十一号刊。
絵のような日常、三首詠。

下の写真は、大阪の国立民俗学博物館で撮影したもの。そのひとコマ。

P9230036

銀座シネパトス横目にひたひたと地下道を行く三原橋地下

磔刑図さらに笞刑図読み方をたがえしのちのわれの饒舌

うすい胸尖りし肩を水槽のガラスに寄せて顔の顕る

2013年8月 5日 (月)

展評アーカイヴ:構造第11号より

門田 秀雄氏による、個展短評。(1995年8月刊)

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北村周一展(1994年3月14日~24日/ギャラリー檜)

 絵具の物質感や筆致の流露、また色彩の微妙なニュアンスや既知のフォルム、というような絵画の要素をできるだけ抑えて、しかも絵具という色彩と物質性をになう素材によって、発表に耐えうる絵画が出来ないか。それは決して達成しえない矛盾の狙いであり、態度なのだが、そういうこだわりによってはじめて、この仕事は生みだされたように見える。
 
 色彩はいくつかの色が重なって消し合って寡黙な淡白にいきつき、そしてたぶん有意味のフォルムを避け、絵具の自然の質感をすら希釈するために、線がもとめられる。その線は、線としての美を主張するのではなく、面の物質感をよわめるための、面を区切る境界線であり、流露とは対照的な、ぎこちない色の細帯である。この絵画は色にも、線にも、フォルムにも、質感にも、ネガティヴであろうとして、存在の微光を発している。
 
 これは一方で、今日の絵画の明らかな一つの袋小路である。ただこの袋小路には、作者の何らかの生についての意志的な選択と切り離せないような批評的空気が感じられる。
 
 なお、今年の個展では筆のタッチが再び―再びというのはおそらく以前にもあった筈であるので―あらわれるが、ここでは前作の印象にかぎることにした。

2013年8月 4日 (日)

ギャラリー檜 ART FAIR ⅩⅤ開催のおしらせ

東京京橋ギャラリー檜B・Cおよびplusにて、アート・フェアⅩⅤが開催します。
期間は、明日8月5日~10日まで。くわしくは、こちらへ。http://www2.ocn.ne.jp/~g-hinoki/

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こんな作品を展示します。会場は、檜B・C。

タイトル;perspective lunch yellow
材質;紙に水彩他、コラージュ 額装(29x38㎝)  

20 十七万人とう声の聞こゆる 見上げゆく代々木の空は梅雨明けんとして

短歌、第二十号刊。
デモに参加する。続々三首。

P1290004

十七万人とう声の聞こゆる 見上げゆく代々木の空は梅雨明けんとして

原色のコーンを越えては歩めざるわれら車道の際にもどされ

四十年ぶりに車道を練り歩く 良くとおる女の声をかしらに

2013年8月 3日 (土)

19 へらへらと缶の蓋など撓ませて凹みいるなり ぎんいろのかお

短歌、第十九号刊。
セルフ・ポートレイトにまつわるあれこれ、昔し話。以下三首。

へらへらと缶の蓋など撓ませて凹みいるなり ぎんいろのかおPa250320pm

描き直すたびに消えゆく自画像の二つ眼がわれを見返す

えがかなくなりてとき経しわが顔の若きが壁に裏返したるまま

2013年8月 2日 (金)

18 心臓の絵図の真上に天皇の写真はありて手術へ向かう

短歌、第十八号刊。
写真雑感、三首詠。

P3280047 滋賀県大津の三叉路

心臓の絵図の真上に天皇の写真はありて手術へ向かう

カダフィの写真の右に都知事いてパンダ二頭の記事へと続く

家族皆おなじ趣味もて皇室のごとくおさまるミニアルバムに

2013年8月 1日 (木)

17 運にばかり頼ってみても試みにはじめしアンペア・ダウン快感

短歌、第十七号刊。Pa230272pm_4
日々の思い、あれこれ三首。

運にばかり頼ってみても試みにはじめしアンペア・ダウン快感

ビサギナスまでの遠さをおもうかな静けきくにのまほらの岡に

歩みつつ憤慨しつつそを口に出しつつ老いてゆくんだろうな

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    初個展。銀座3丁目ギャラリー檜にて。1984年3月。
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